活動報告や事務局の動きなどについて掲載します。
ウクライナ・ジトーミル州ジトーミル市にある私たちのカウンターパートのホステージ基金代表のドンチェヴァ氏より送られたメールから情報をお伝えします。
軍事侵攻が開始される直前の2月22日から今日3月2日までのまとめです。
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日本時間の22日夜(原文ロシア語、[ ]内は訳者の補足)。
『[皆ウクライナ情勢を心配していると書いたのに対し]皆さんのご心配はわかりますので、まずお返事させていただきます――私たちは今のところ平静を保っており、大統領が言ったように「頭を冷やして」います。大きな動揺はなく、今は皆、公共交通機関の乗客同士や隣人同士での議論のレヴェルです。皆、大きな戦争の間際だということは理解していますが、それでも、外交的解決という選択肢が残っていることを願っています。残念なことに、ドンバス地方はもう失ってしまいましたが……。
今、皆「インターネットを見過ぎないように」とのスローガンを守る努力をしています。ネット上で目にするものは恐怖の一語に尽きるからです……。どのヴィデオを見ても、状況は悪化しており、不安を植えつけられるばかりです。今日、誰に聞いてみても、眠らずネットを見ていたという人ばかりです……。
一方、私は粉ミルクを配布した州立孤児院から戻ってきたところです。そこで私は恐怖から解放され、すでに運命が損なわれてしまった[障碍児の]子供たちから、巨大なポジティヴなエネルギーをもらいました。私たちは大きな試練に耐え抜くために、小さなことに喜びを見出さなければなりません!
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2/25
日本時間の昨日16時前(原文ロシア語)。
『まあ、なんと言えばいいのか……朝5時に、軍の飛行場から大きな爆発音が聞こえました。私のうちから20分のところです。その後射撃や爆撃はありませんが、ガソリンスタンドには行列ができ、隣人たちは皆店に食品を買い出しに行っています。通信の問題が起きるのではと恐れています……職場に行きたいです。また書きます』
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2/25
日本時間の15:46(原文ロシア語)。
『朝は静かに迎えました。戦争だとは信じられないほどです……。戦時状態宣言と戒厳令発令。昨日、すでに店でパンはなくなっていました……しかし全体として状況はコントロールされています。』
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2/26
日本時間の16:12(ウクライナ時間9:12)、(原文ロシア語)。
『皆さんのサポートすべてに対して感謝します。こんな大変な時にも私たちのことを思い、心配して下さっていることに対して。
ジトーミルの夜は平穏に過ぎました。ここはキエフではなく、そのことが救いとなっています。朝、飛行機が飛来し始め、対空砲が迎え撃ち始めましたが、今は静かです。子供のいる隣人たちは地下室に避難しました。私たちはくじけず、祈っています……。』
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2/27
日本時間の本日16:02(ウクライナ時間9:02)(原文ロシア語)。
『励ましの言葉ありがとう。私たちは持ちこたえています。ジトーミルではやはりキエフのようではありません。キエフで起こっていることは、恐怖と涙なしには見ることができません……。
[ジトーミルの]状況は平穏で、明け方に飛行機が飛んでくるだけです。おそらくすべてキエフに向かって飛んでいくのでしょう。
ジトーミルでは街から出る道が封鎖され、検問所が作られました。発電所のそばにも昨日になって検問所ができました。[私の住む]集合住宅では、男性たちが不寝番を組織しています。皆破壊工作者を恐れているのです。ここでさらに重要なことは、情報の洪水のせいで気が変になってしまわないことです。とにかく、すべてを冷静に受け止めるように努力しています。
私たちの友人の皆さんに、ウクライナは強い、不屈の国だと伝えて下さい。私たちは闘います!
フェイスブックで[日本での26日の抗議集会についての]ヴィデオを全部見ました。皆さんは立派です!』
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日本時間2月28日17:19(ウクライナ時間10:19)、(原文ロシア語)。
『連絡ありがとう……今、とても大事なことです。私たちが災いの中で孤立しているのではないということを教えてくれます。そしでその災いは、本当に恐ろしいものです。
私はたくさんのメールとウクライナ、ジトーミルの状況についての質問を受け取っています。なんとか私たちの日本の友人たちとパートナーたちを安心させたいのですが、私自身時々我を忘れてしまいます……。すみません、わかって下さい……。
さて、本題です。
1.私は事務所の建物[州行政庁]に入ろうとしました。すべての電源を切り、窓のそばのものを片付けるために入れてくれました。州行政庁と市執行委員会は土嚢とコンクリートのプレートで囲まれ、テロに対する警備隊が守っています。おそらく、近い将来にわたっては、これが最後の事務所訪問でしょう……。民間人は家にとどまり、不必要な外出はしないよう要請されているのですから、なおさらです。また、戒厳令が敷かれていますが、いずれにせよ私は夜間どこにも行きません。集合住宅には地下室があり、空襲警報が発令される時には皆そこに逃げ込みます。(中略)全世界と連絡を取り、ウクライナのことについて語るのは、今重要なことです。戦争がいかなるもので、ウクライナがどんな恐ろしい状態に陥っているか、すべての人に知ってもらいましょう。
2.残念ながら、粉ミルクの配布を終わるまであと数日が足りませんでした。ジトーミルの会社に粉ミルクの入った箱があるのですが、誰がそれを受け取り、どうやって配布するか?……ガソリンは買えませんし、すべての車は管理下にあります。医療関係はなおさらです。そして会社は事務所を閉鎖してしまいました。ともかく、すべてがストップしてしまったのです。私は、状況がなんとか安定することを非常に期待しています。そうすれば、粉ミルクを病院に運ぶことができるでしょう。といっても、キエフの会社から買い付けた粉ミルクHippは、今の状況下では届かないでしょう……。
3.銀行の営業がどうなるか、私はわかりません。(中略)心が痛むのは人道支援のお金についてです。
4.(中略 )戦時状態のため、ホステージ基金のできることは限られています。私はお金を受け取ることも、両替することも、物品の買い付けや配布をすることもできません……。今のところ、私の考える私たちの役割は、常時国際社会にウクライナとジトーミルについての情報を提供し、私たちの悲劇に関心を持ってもらうことです。(中略)私は精神的に非常につらいです……。ここ数日の間に、私たちは皆人生を改めて生き直し、すべてを改めて見直しました……。そして悲しいかな、それが私たちの新しい現実になったのです。』
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3/1
日本時間の昨夜、日本時間の3月1日0:49(ウクライナ時間2月28日17:49)(原文ロシア語)。
『そう、イスカンデル[注:ロシアの短距離弾道ミサイル。https://ja.wikipedia.org/wiki/9K720]で、私たちは皆非常に驚きました……。ジトーミルから10㎞のところにある、キエフへの幹線道路に近い飛行場が爆撃されたのです。まだ開設されたかされないかで、離陸用滑走路に問題があったのですが、建物は完成していました。何と言えばいいのか、私の住む70世帯の集合住宅は揺れ、鈍い爆発音が響きました……恐ろしかったです……。
今日の昼間は静かで、空襲警報は一つもありませんでした。人々は集まり、テロ対策の自衛のため非常に多くの作業をしています。共通のチャットを設け、皆最新のニュースを共有しています。私は毎回、もうニュースは見まいと誓うのですが、その都度自分の言葉を裏切り、その後で泣いています……今、ますますはっきりと、完全に別の生活が始まり、何も元には戻せないのだということを理解しています……。最も恐ろしいことは、私たちがこの困難な道の出発点にいるに過ぎないということです……』
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以上